会員の完走文/エッセイ集




サロマ湖100Kウルトラマラソン完走記  (寺本冬彦)


  • 2006年6月、サロマ出場を兼ねた北海道旅行。リフレッシュ休暇で大会3日前に出発、網走市内などしばし観光。
  • 天候は曇り一時小雨。走るなら好都合だが観光にはパッとしない天気。
  • 当日の予報は晴れ。観光には好都合だが走るには厳しい条件。観光メインなので問題なし。
  • とてつもなく早い朝、日の出を拝みながらスタート会場へ。
  • スタート直後は霧が出ていたがすぐにはれ、のどかな風景が顔を出す。遠くの山に(デジタル)カメラを向けてみる。「一瞬で構図決めないとロスが大きいな」。
  • 10km付近、満を持してサロマ湖出現。右手に眺めながら数km、折り返して左手に眺めながら数km。申し分のない景色。「やはり風景撮りながら走ろう」。
  • 30km付近は平原(牧草地か)、40km辺りで再び湖畔へ出て50km付近の小高い丘を上って55km手前のレストステーションへ。10km〜40kmはいいペースで走れたものの(オーバーペース?)、50km手前で失速。後半に不安。 レストステーションを出て60km付近までのぼり。
  • のぼりがきついというより余力がないのがきつい。既に未知の領域(距離)。丘を下り70kmまでサロマ湖が見えたり隠れたり。給水や撮影以外ではなんとか走ってる(つもり)。立ち止まると再び走り出すのがまたきつい。 「疲労は苦痛ではない」(その時は名言のつもり)。息が上がらないのが救い、全然苦しくはないからガス欠(空腹)にでもならなければ走り続けられるか。と思ったとたんに腹が鳴る。
  • 給水の度にドリンクと固形物両方なにかしらとるようにしてたのにそれでも足りないらしい。流氷飴(網走観光でオホーツク流氷館にて購入)を頼りに給水所を目指す。気晴らしに風景撮影、立ち止まったのが運のつき。再び走ろうとした時右ヒザが悲鳴をあげる。幸い「おしるこ」給水所まで500m。そこまで歩いておしることソーメン、バナナにドリンク2杯でガス欠回避。それでもヒザは難物、無理すると棄権のリスク。しばし散策観光モード。 残り時間を計算してみる。制限時間まで5時間で26km、「全部歩いたらぎりぎりか」。
  • 1kmだけ走ってみる。約8分、それも長くはもちそうもない。悲壮感ただよう。急ぎ足で歩いてみる。起死回生の新発見、歩きには全く支障なし。9分10秒/km、「最悪全部歩いても大丈夫」。 80km、少し走ってみるがやはり挫折。気を落とした時、不意に現れたオホーツク海。
  • 気がつけば両側に草花の群れ(ワッカ原生花園)。右奥にオホーツク、左奥にサロマ湖。360°絶景。撮影スポットに事欠かず、少し走って休憩(撮影)のサイクルで足の状態をしばし忘れる。 折り返しまで7〜8km、とにかく長い。帰りも同じ景色に見入ることができるか。
  • 現実に戻されそうな不安。なにか走ること以外に集中したい。 90km。
  • 残り10kmを歩いて90分で行けるか挑戦。目標ゴール時間11時間50分(90km通過10時間20分)。9分10秒(/km)、9分5秒、9分15秒(あれ?)。9分の壁。 97km。既に挑戦は明らかに失敗。ゴール予想11時間53分に下方修正 。
  • ついに大腿部が歩行にも支障をきたし始める。まあゴールは出来るだろうが何かつまらない。「ラスト2kmは走るか…、でもどうやって?」。曲げると痛む右ヒザに歩きにも支障ある腿。「残るは足首か」。 ラスト2kmは広めの車道わき。
  • まわりは十分のどかな風景なのだが街中に思えるのが不思議。ヒザを曲げず足首のバネを頼りに進む。不自然な走り方だが、「水泳のキック練習みたいなものか」。
  • こんな状態でも周りのランナー達を追い抜いていけるのが不思議な気分。
  • 最後の右折をするとゴールは目の前。感動のゴール、というよりちょっと感傷にひたりながら、「お疲れ様」。


    91570020_1.jpgスタート前 91570054_1.jpg菊地さん 91570061_1.jpg藤盛さん

    91570075_1.jpg寺本さん 91570107_1.jpgゴール後






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