会員の完走文/エッセイ集
第3回 OSJおんたけ ウルトラトレイル100km参戦記
概要
2010年7月18日の日曜日に開催された、「第3回 OSJおんたけウルトラトレイル100km」に菊ちゃんさんとともに参加してきました。
このレースは第3回OSJおんたけウルトラトレイル100km実行委員会 が主催、パワースポーツ/OSJが企画運営し、長野県木曽郡王滝村を主会場として開催されました。 実行委員会には、地元王滝村役場の方も多数含まれていたようですが、詳しくはわかりませんでした。
レース概要は次のとおりです。
受付・ゴールは松原スポーツ公園、スタートは王滝村小中学校。
距離109kmの 予定であったところ、土砂崩れで一部エスケープルートとなり、本番は105.7km。
18日午前0時スタート、終了は同日20時。
途中、第1関 門(33km)6時、第2関門(65km)12時、第3関門(80km)15時。
エイドは6箇 所。うち食料のある大エイド3箇所、水のみが基本の小エイド3箇 所。他に天然水が得られる天然エイド多数。大エイドは関門を兼ねる。
スタート/ゴール地点の標高900m弱、 最高地点は1600m弱。
受付
レース前日、菊ちゃん車で向かうも3連 休初日で中央高速とその前後は大渋滞となり、混雑を抜けたのは笹子トンネルを抜けてから。この間、受付終了時間である18時までに到着しないであろうことが気になり、非常時連絡先に連絡したところ、とにかく向かってくれとのこ と。
渋滞を抜け、伊那ICを 降りてスーパーマーケットで食料を調達、受付会場である松原スポーツ公園を目指してひた走り、30分 遅れで到着しました。駐車場内には既に多くの車と仮眠用のテントもちらほら。
我々は、まずはエントリーを確定させなければならないと受付に急ぎました が、担当者は案外涼しそうな対応でした。どうも我々以外にも何人か送れた人がいるためのようです。
スタート
午前0時のスター トとなれば、体力をいかに温存しておくかが重要。そのためには着替え、食事を速やかに済ませ、仮眠すべきと考えましたが、寝ることはできませんでした。
そうこうしているうちにスタート会場に移動すべき時間となり、23時前にバスに乗車。スタート会場では、第2関門へ の荷物預けをする人、少しでも眠っておこうとする人などでいっぱいでした。
見回すと、大多数は半袖シャツに短パンで、ロングタイツは少数派でした。
我々は「明走會JAPAN」のロゴの入った例の目立つシャツで統一。
持ち物は、ハイドレーションの2リッ ターと0ペットボトルの0.5リッターの水、おにぎり6個、ミニあんパン、ごまあんパン、ウィダーゼリー、塩飴などの食料、ヘッドランプ、スペアのヘッドランプ、ゴミ袋、ウィンドブレーカ、スペア靴下、携帯電話、絆創膏、熊よけの鈴などで、食料はハセツネより多め。大エイドに食料があるとのことではあったものの、初めてなので安全を優先しました。
スタート30分前 にはプロジェクターを使ったコース案内があり、湖の近くで熊がよく出てくるなんていうのもありました。
その後、神主さんのお祓いを経て0時 に。
第1関門(33km地点)
午前0時、スター ト合図とともに先頭から動き出し、後ろに並んだ私がスタートラインを通過したのは1分後くらい。
王滝村は人口千人にも満たない小さな村なので、すぐに集落が途切れ、やが て林道に。林道は山襞を縫っていくもので、コース上はぬかるみと言えるところはそうはないものの、あちこちに水が沸き小さな流れができていました。
しばらく立つと少しの登りでも歩く選手が現れ始めるなどし、次第にグルー プがばらけ、更に進んで22km地点の第1小 エイドに到着。ここではスタミナドリンクのサービスがありました。
ここから先は何度か折り返しながら続く長い登りがあり、登り切ったら更に 水気の多い下りとなり、再び上って第1関門に5時37分到着。途中4時半前にヘッドランプを外しまし た。
関門での計測は、ナンバーカードに印刷されたバーコードを読み取ることに より行うというもので、私には初めて体験するもの。
エイドに用意されたものは、パワーバー(ジェルor固形から1つを選択)、キュウリの漬け物、バナナ半分、そして水。水はトラックの荷台に蛇口付きポリタンクのままおかれ、選手はハイドレーションかペットボトルに直接注ぐという方法で利用していました。食料は食べ放題ではないので、多めに準備して正解でした。
第2関門(65km地点)
第1関門から先の 道は緩い下りが多く、更に小石も少なく走りやすかったので、調子よく進みました。このため一気に47km地点にある第2小エイドに到着。ここには水しかなかったので寄らず、更に前方を見ると見覚えのあるあの目立つ明走會JAPANのシャツを発見。
本人には気づかれることなく一気に追いつきました。
走力で劣る私が菊ちゃんさんに追いつくとした場合、菊ちゃんさんの調子が 悪い場合しか考えられません。聞けば、景色が単調で、しかも眠くモチベーションが上がらないとのこと。2人 で一緒に行けばもう少しましな結果になるだろうということで一緒に行動することに。
しばらくして三浦ダムの湖面に沿った平坦な道になり、更に進んでダム湖を 離れてからは山の中腹の山襞に沿った道に変わりました。路面は乾き、また尖っている石が多く、アップダウンが繰り返すという塩梅でした。
また御嶽山がしばしば望めるようになり楽しめましたが、同じような道、風景が繰り返されるようになり、飽きるというマイナス面もありました。
またピーカンで暑さも増してきましたが、それでもひたすら「登りは歩く、他は走る」を繰り返し、65kmの第2関門に9時54分到着。
ここは荷物を受け取ることのできる第2第エイドでもあり、パワーバー、胡瓜の漬け物、バナナ、おにぎりがありました。
第3関門(80km地点)
暑さは益々厳しくなり、菊ちゃんさんは頭、顔、首筋に水をかけてオーバー ヒートを防ぐよう、私は水のがぶ飲みで同じ効果を期待して進みました。こうなるとおにぎりはのどを通らず、チューブ入りの食品かパンなどしか受け付けなく なってきます。
ところが不思議なことに、なぜかモチベーションがアップし、走る頻度、ス ピードが増し、休むこともせず、第3関門までの区間をごぼう抜きならぬ100人抜き(本当は数えていません。悪しからず。)をするほどになりました。まさにペアで走った成果です。
下りきって80kmの 第3関門に12時過ぎ到着。ここにはそうめ んのサービスがあり、するすると実に食べやすく、お代わりもさせていただきました。
フィニッシュ
第3関門からは2つの登りを含む残り25kmのみ。主催者によれば、 第3関門までくればみんなフィニッシュできるとのこと。
1つめの登りでは少し抜き 返され、2つめの登りを終えると再び抜きまくりモードになりましたが、少し頭がぼんやりしてきたた め、熱中症を避けるよう私も頭に水をかぶる、首筋に水をかけるといったことをやりしのぎました。
下り途中にあった第3小 エイドを経て更に進み、100km地点を過ぎると氷ヶ瀬で一般道に。ここまできたところで併走は終 え、各自ベストを尽くしてゴールを目指すことに。菊ちゃんさんは持ち前のスピードでどんどん先へ、私はへばり気味で距離は離れるばかりでした。
最後だけは形作ってゴールし。時間は15時間と40分少々。先にフィニッシュの菊ちゃんさん が、ゴール写真と完走祝いの握手で迎えてくださいました。
フィニッシュ以降
フィニッシュ後は豚汁をいただき、次にコーラを飲もうと思ったものの自販 機全ての炭酸飲料は売り切れていました。その後、芝生の上で一時くつろぎ、16時半には駐車場に戻 り、松越旅館に移動。
この旅館は御嶽山信仰をする方のための宿であり、併せて一般者も泊めると いう民家風で質素なところ。
人当たりの良い夫婦2人で運営され、村内には数少ない宿泊施設であるこ とから、ここも本レース参加者が多数派であり、前日もグループで宿泊されていたとのことでした。
まずは風呂をと勧められ、汗臭さからようやく解放され、ようやく落ち着いた気分に。
程なく夕食となり、イワナ塩焼き、鯉の洗い、青菜のおひたし、鯉こく、鶏肉とズッキーニのチャウダー風、ハンバーグ、茄子のしぎ焼き、インゲンなど実に充実した料理を堪能。テーブルには我々の他に青森から遠征したという女性も一緒で、いろいろと情報交換させてもらいました。
酒は、私としてはいつものとおり控えめのビール1本のみです。
21時頃には爆睡体制に入 り、途中寒くて窓を閉めるということはあったものの、一気に朝を迎えました。
「筋肉疲労には運動で解消」がセオリーということで、朝飯前の散歩は御嶽神社に。
ここは御嶽登山の1合目にあたるところで、長い200〜300段くらいの階段を上りきった先にありました。垂直な岩の隙間から水が噴き出しており、傍らには汲んで帰ることができるようにしてありました。
もちろん試しましたが、うまい水であり、後で宿のご主人に聞いたところ、長野の名水として認知されているとのこと。
宿に帰ると直ぐに朝食となり、菊ちゃんさん3杯、私2杯のご飯をいただき、混雑を少しでも避けるよ う早々に宿を後にしました。
まとめ
完走証は後日郵送ということで、正確な記録は現時点では不明ですが、菊 ちゃんさん15時間38分くらい、私15時間40分と少し。途中モチベーションが今一だっ たことからすれば、上々の記録と思っています。
また同じトレイルとはいっても、例えばハセツネとは別なカテゴリと思いま したが、どれが正当ということはなく、それぞれ特徴があるものです。
最後に、私が感じたこと、思ったことを列記してまとめとします。
瞬時に数歩先までの足の置き場を判断しなければならないというコース ではない。
距離が長いので、少しでも歩く時間を減らす努力をしないと遅くなる。
エイドには多くの食料があるわけではないので、全量を持参する方が無 難。
ほぼ全区間に渡って自然水が豊富にあるため、途中で補給するを前提と して良い。
道に迷う心配はほぼ皆無。
常に道幅が広いので、渋滞は一切無い。
蚊、虻に悩まされることは一切無かった。蛇も見なかった。熊も見な かった。リスはいた。
ビューポイントが多いので、おみやげとして写真は有効。
メイン会場には自販機が2台 あるのみで、他は一切食料の調達はできない。
エントリーリスト記載者は705人、 出走者約600人、完走者約480人(根拠 なし)、完走率8割(根拠無し)という感じであり、実力者が多数である可能性あり。
御嶽山を背景に
澄み切った川をまたぐ橋から、水面に映る影
切り立った岩の間から御嶽山
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